きろく

個人的な記録の置き場所。スーパードルフィーに関してがメイン。

一人遠足 ローカル線で房総横断

 訪れるならもう少し遅らせた方が時期としては最適かと考えなくもなかったが、天気予報の

「土曜日はお出かけ日和」

という言葉に乗って、一度行ってみたいと思っていた房総半島を横断するローカル線の小湊鉄道いすみ鉄道に乗りに行ってきた。

 今回の遠足はいくつか目的がある。ローカル線で郷愁を味わうのもそうだが、関東では数少ない秘境駅と言われるいすみ鉄道久我原駅を尋ねること。新たに購入した標準ズームレンズとカメラリュックを試す事。そしてSDミディの歩宇を連れて行って撮影する事。

 計画と準備は月曜から着々と進めて、いよいよ土曜日となった。

 

 8:05 横浜駅東口バスターミナル18番乗り場から五井駅行き高速バスに乗車。

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自分を含めて7人ほどしか乗客はいないので極めて快適ながらアクアラインが渋滞気味で時間通りに五井駅に到着できるか少々不安になった。

 

 9:15 予定より数分遅れて五井駅前に到着した。ここから小湊鉄道に乗る。バスは少しだけ遅れたが、バス停は駅の目の前だし、時間はまだ余裕がある。小湊鉄道のホームへはJRの改札で「小湊鉄道に乗る」と伝えてここからから入場する。ホームに降りる階段の手前に小さな木製の改札があって、そこで「房総横断記念乗車券」を購入。小湊鉄道いすみ鉄道に乗れる乗車券で、自由に途中下車できる。ただし一方向の乗車のみで後戻りはできない。

 ホームに降りるとすでに列車が待機しており、それに乗り込む。かなり客が乗っていて、平日日中の根岸線の方が空いているくらい。

 

 9:25 五井駅を出発。最初の目的地は上総鶴舞駅

 生まれて初めて気動車に乗った。小湊鉄道は結構揺れるしガタガタと細かい振動が多いワイルドな乗り心地という感想。

 

 10:00 上総鶴舞駅に到着。

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 無人駅なので降りたら車掌に乗車券を見せる。降りるのは自分一人だけだった。出発する車両を見送ってから、まずは多くのロケなどで利用される駅を堪能する。五井〜上総鶴舞の駅がすでにそうだったが、小ぢんまりとしたレトロな駅舎だ。駅舎以外のどこからでも自由に出入りができてしまう実にほのぼのした駅だ。

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 次の列車が来るまで1時間あるので、ひとしきり駅舎の雰囲気を楽しんでから歩宇に登場してもらって、野外撮影を始める。

  撮影を始めてしばらくすると、撮り鉄なのかただの写真愛好家か、どこからともなく二人ほどやってきたので歩宇をカバンに戻す。

 

 11:01 およそ1時間の撮影タイムはあっと言う間に過ぎ、次の列車が来たのでそれに乗る。始めに乗った列車よりもだいぶ空いていた。

 11:07 上総鶴舞から2駅隣の高滝駅で下車。

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ここから高滝湖沿いを歩いて里見駅を目指す。

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 高滝湖へ出る直前にある高滝神社に寄って参拝。結構りっぱな神社だった。家を出て4時間強が経っているが、ここで旅の安全を祈願する。

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 高滝湖の橋。この日の午前中は天気が良くて、歩いていると少し汗ばむくらいだったが、さすがに橋の上は風が強くて寒かった。

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  湖沿いの道にある店で昼食にする予定だったのだが、潰れたのか休みなのか、入り口は施錠されていて、営業している気配は微塵も感じられなかった。道を戻れば、営業していた店もある。少し先に進めば1件だけ営業していた。でも、なんとなく食べる気をなくして昼食抜きにした。

 高滝湖沿いのもう一つの神社、三峯神社(ということらしい)に寄った。道から少し登った高台にある開けた空き地に銀杏の巨木が一本立っている。

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その根本に小さな祠が三つ。横には羽黒三山の石碑。

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 写真には写ってないが、銀杏のすぐ横に真新しい石造りの鳥居が立っていて「三峯神社」の名前がある。ここにあるのはそれだけで、神社にまつわる情報は不明。銀杏の木は樹齢が300年以上あるらしい。

 ついでだが、さっきの滝高神社の脇にも小さな祠と羽黒三山の石碑があり、祠には「三峯神社」とあった。

 

 また歩き始めて里見駅に。昼食タイムがなくなったので時間が余ってしまったので、先に駅周辺をふらっと周る。とにかく菜の花がどこにでも生えている。水仙も多かった。

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なお時間が余るので歩宇に再登場してもらって、ササっと撮影。

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13:18 里見駅を出発。いすみ鉄道に連絡する上総中野駅に向かう。乗客はいよいよ少なくなり、ゆとりを持って座ることができた。飯給駅から先は山の中に入っていくようになる。

13:42 上総中野駅に到着。いすみ鉄道の出発まで少し待つが、周辺には特に何もありそうにない。

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14:07 上総中野駅を出発。

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 いすみ鉄道小湊鉄道より車内が綺麗だった。乗り心地も、揺れが少なくガタガタもしない。割と普通な感じ。小湊鉄道の揺れも、それはそれでローカル線らしいのかな、と見ることもできようか。

 

14:18 久我原駅で下車。ここが関東ナンバー1の秘境駅らしい。下車したのは自分のみ。何もない駅に自分一人を残して列車は次の駅に向かう。

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 まぁ分かっていたが何もない。そして静か。

 次の列車まで1時間。時間の許す限り歩宇の撮影をしようと思っていたのに、始めて10分くらいしたら二人連れが歩いて来た。思いもかけない訪問者に慌てて歩宇をリュックに戻す。彼らはそのまま待合室のベンチに腰を下ろしたので、これ以上の撮影は無理と思い、時間もあるので隣の東総元まで歩くことにする。

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 10分くらい歩いたら、前方から来た列車が久我原に向かうのが見えた。

「先ほどの二人はこれに乗るのでは?それならば、また駅が無人になるのでは?」

と考えて踵を返す。駅に戻ると案の定誰もいなくなっていた。残り時間も少ないが、四度目の歩宇の登場で数枚撮影したら、また歩いて来る人が…。落ち着かない秘境にガッカリし、おとなしく次の列車を待つ。こんなに人が来るなんて思わなかった。

 

15:16 やって来た列車に乗って久我原駅を離れる。列車は急行だった。こんな駅に急行が停まるのか。急行列車は大多喜より先まで乗る場合は急行券が必要になるので、車内で清算する。

 この列車は「レストラン・キハ」で使われている車両らしく、前方車両の各座席には手作りっぽいテーブルが取り付けられていた。取り付けっていうか普通のクランプで固定していた。このDIY感には驚いた。

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16:06 大原駅着。これにて房総横断完了となる。

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横断は完了だが、せっかく外房まで来たのだし大原漁港の隣の岬に小浜八幡神社というのがあるので、そこまで片道20分ほど歩く。この神社に何があると言うこともないのだけど。

 だいぶ陽も傾いてきたので、すこし急ぎ足で神社に向かう。風も冷たくなってきた。

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社は小さいが、小高い岬のてっぺんで独特の雰囲気がある。この日は3月11日だったので、この地域一帯でいざという時に、多くの人が無事でいられるように祈念する。

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社の裏手に回ると漁港と太平洋が見える。

 

 神社を後にし、来た時とは違うルートで大原駅に戻る。昼食抜きで腹も減っているので、少し早めの晩御飯にしようと目星をつけていた店を目指し、またしても店が閉まっているという…時間が早すぎたのか?他の店もあるが、どこも営業している様子はない。なんとなく怒りを覚えながら駅に戻り、とりあえず窓口で帰りの切符を買う。帰りは特急わかしおで東京駅まで行く予定。次の特急わかしおが1時間後なので、何か食べられないか駅周辺を歩いてみた。寿司屋が営業中の看板を出していたので、他に選択肢もなさそうだし、決める。回らない寿司なんて何となく躊躇してしまうが安価に頂けたし店の主人も感じが良かった。

 駅で30分弱時間を潰して18:28の特急わかしおに乗り込んだ。車窓の外はすっかり暗くなっていて何も見えなかった。